Rくん小学1年生。
レッスンに来て、楽譜を開くと同時に
『先生、あのね、最後のこの音、小さく弾きたいのに、小さい音が出ないのー。』と。
まず、Rくんのなかにある
「こういう音が出したい」
という思いがあることが素敵!
そして、そのために、
きっといろいろ試してみたんだろうな。
試行錯誤してみたけど、
なかなかうまくできなくて、
先生に聞こうと思って、
レッスンが始まるなり言ってくれたんだろうな~。
音の強弱は何で決まるかといえば、打鍵のスピードが大きく関係しています。
ピアノの構造から話すのは難しいし、
簡単に、ゆっくり指を下ろせばおっけー。
と、答えを渡しちゃうのももったいない。
子供も大人も、なにか疑問を持った時は、
ふかーく物事を吸収できるチャンス!
だからあえて遠回り。
「電車の話をするよ。まずは、新幹線ね。新幹線は、はやいか、おそいか。」
『はやいよ!ビューーーン!』
「そう。ビューン!じゃあ、新幹線は、はやい。新幹線に比べたら、普通の電車は?」
『新幹線よりゆっくり。ガタンゴトン!』
「リニア知ってる?リニアは、なんと、新幹線の2倍もはやい!この間、山梨のおじちゃんが言ってたの。なんと、山梨から東京まで20分ぐらいだって!(本当かどうかは不明)」
『リニア、はや!』
「さあ、では、リニアのはやい手になって、先生がピアノを弾きます!」
(手を早く下ろすと大きい音が出た)
『でっかー!』
「さあ、次は新幹線ぐらいね。」
(さっきよりは小さい音になった)
『あ、音が小さくなった?かも?じゃあ、ぼく電車の音ひいてみる!』
Rくん、電車の手になってゆっくり手を下ろして弾いたら、、、
『うおー!小さい音になった!』
気づいたね!
「そう!そうなの!大きい音がほしかったら、力を込めるんじゃなくて、はやくおろすこと。指を支える少しの力は必要だけど、筋肉ムキムキの力はいらないよ。必要なのは、はやいスピード!小さい音がほしいなら…?」
『ゆっくぅーりーぃ…』
(と言いながらまた、Rくん、ゆっくり手をおろして何度も弾いて試していました。)
新幹線の例えが最もよかったかと言われたらわからないけれど、それぞれの生徒さんに合った遠回りの引き出しをあけて、イメージの世界の中で想像して、体験して、理解を深めることに繋げています。