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発表会、無事終了しました♪

『今日のコンサートのテーマは「楽譜と音の間にあるもの」。小さなピアニストたちは、大好きなお父さんやお母さん、大好きなおじいちゃんやおばあちゃんたちの前で、がんばって弾きます。本番はドキドキするけれど、みんなが笑顔になってくれたら、それは、とってもうれしいことです。

お兄さん、お姉さん、大人のピアニストも、やっぱりドキドキしています。そして「自分の音」を探しています。楽譜にあるたくさんの音符が、どんなふうに生きていたいのかを、考えています。

音楽には、目には見えないことがたくさんあります。だから、ちゃんと自分で考えたり、感じたりして音にします。音楽を聴くのは、きっととっても楽しくて、ほんとうはかんたんなことです。でも、見えないものを見ようとしないと、楽しくないかもしれません。

楽譜と音の間にある「目には見えないもの」を探せたら、今日はみんな、きっと楽しい一日になります。
36人のピアニストの演奏を、最後までどうぞお楽しみください。』

これは、発表会の冒頭、生徒さんが影マイクで言ってくれた始まりの言葉です。前回の発表会のテーマは「演奏する人と聴く人がひとつになる発表会」でした。今回は、「楽譜と音の間にあるもの」。

「みる」という言葉は、変換すると、「見る」「観る」「診る」「看る」「視る」とたくさん候補が上がります。

「見る」というのは、そのままのことで、単純に、「見る」ということ。「あの子今、音間違えたな。」「一回も間違えなかったな」「変な座り方だな。」とか。日々のレッスンで言えば、「時間通りにレッスンに来たな。」など。

「診る」のは、その人の内面を受け取って、直接見えないところのいろいろな可能性を想像して、診る。
「ピアノの技術を向上させる」のはもちろん私たちの仕事のひとつですが、「生徒を診ていく」ことも私たちがしていくべきことのひとつです。「音が変わってきたのはなんでだろう。」「この子の気持ちがのってこないのはなんでだろう。」日々のレッスンもそう、発表会もそう。生徒さんたちと向き合う中で、一番必要な「みる」だし、一番難しい。目だけじゃなく、自分のいろいろなところを総動員して見ようとしなければ何も見えません。内面の声を聴き間違えてしまって、後からハッとすることも少なくありません。

冒頭の原稿では、「音楽を聴くのは本当は簡単なこと」としましたが、きっと心が真っ白で、純粋だったら、本来は簡単なのかもしれないと思うんです。でも人間、なかなかそうはいかないとも思うのです。だから、見ようとしないと見えてはこない。簡単だけど、難しいって思います。

生徒さん自身からも、生徒さんのお母さんたちからも、当日会場で私たちに伝えきれなかったたくさんの思いを、発表会が終わってから、教室へのLINEや電話で聞くことができました。

(↑発表会中の無料託児をしてくれた保育士さんとも一緒に☆)

それぞれの生徒さんたちの背景にあるものはみんな違います。

だからそれぞれの思いがそれぞれにあって、とても一言ではまとめられない、というのが正直なところです。

でも、みんなの感想が「上手」「下手」という見る視点だけに立たずに、「我が子を診る」「相手を診る」視点があって、とても嬉しかったです。

私だけじゃなく、そんなふうに見てもらえて一番嬉しいのは、他のだれよりも、生徒さん本人ですね。